歯のはなし

なぜ歯科治療が必要なのか?

「キィーン」という音が苦手で、虫歯があっても、かなり我慢してからの来院となる患者さんが少なくありません。

虫歯になっても、普通に食事ができるうちはあまり問題がないのですが、痛みなどの症状がある場合は、当然、不都合のない場所を探して食事をすることとなります。これは「片噛み」といって、この状態を続けていくと過重負担になり、歯牙の破折・知覚過敏・金属との境目の不調和などが生じ、こちらも不都合になってきます。

そして、片噛みを長く続けていると正常な顎の位置がつかめなくなり、首の周りの不調和をも訴えることになりますし、よく噛めずに十分な唾液を出せない状態では、消化器系の異常も顕在して、様々な病気を引き起こすことに成りかねないのです。

現在、日本人の約7割が、慢性病発病予備軍となっているいわれています。この中でも心臓病・腎臓病・腸ガン・肝ガンなどは、消化機能の低下や乱れた食生活が要因とされる酸性腐敗便が密接に関与しているという研究結果もあります。

ヒトの消化器官から出る消化液には、唾液、胃液、腸液、すい液などがありますが、意識的に分泌を促すことができるのは「唾液」だけです。それも「よく噛む」というきわめて簡単な方法でできるのです。

しかし、歯の治療をおろそかにしておくと、この簡単な「よく噛む」という行為もできなくなります。仮に、噛めないからと、軟らかい食材や流動食などでエネルギーを補っても、唾液が分泌されなければ、その入り口である「くち」の段階で、消化や解毒に影響を及ぼすのです。

そのためにも、日頃から口の中の状態を良好に保つことを心がけ、噛むことに不都合が生じたら、積極的に歯科治療を行うことをおすすめします。