歯のはなし

必要な押しつけの「しつけ」

これまで健康に関する様々な事柄を論理的に説明してきました。物事を論理的に説明することは人を納得させるために有効ですが、子育てにおいては、論理的に説明のつかない「型」や「価値観」というものをもっと植え付ける必要があるのではないでしょうか。近ごろの「みっともない」大人や「だらしない」若者の姿を目にするたび、つくづくそう感じてなりません。

江戸時代、会津藩にあった日新館という、白虎隊も教えを受けていた藩校では、ここに入る弟子に対して「什の掟(じゅうのおきて)」というものがあったそうです。

一つ、年長者の言うことに背いてはなりませぬ

二つ、年長者にはお辞儀をそまければなりませぬ

三つ、虚言を言うことはなりませぬ

四つ、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ

と七つまで続いて、最後に「ならぬことはならぬものです」という文句で結ばれています。つまり、「問答無用」、いけないことはいけないという価値観を教えているのです。

現代の日本は、論理的に説明を付ける教育ばかりを重視したり、自由とかプライバシーという名のもとに、子供の好き勝手を野放しにしている風潮がみられます。

子どもも大きくなるにつれ論理的に説明がつかないことには反発するようになります。挨拶をきちんとする、脱いだ靴はきちんと揃える、人をいじめてはいけない、というような人としての「型」や「価値観」は、子どもが幼いうちに、親や教師が押しつけてでも身につけさせるべきでしょう。

 健康面でも、食事はよく噛んで食べること、食事の後や寝る前には必ず歯を磨くこと、というような「型」は、論理的には理解ができない幼いうちからこそ習慣づけたいものです。