「健康」は「食」にあった
1997年、アメリカの医療費は1180億ドル(約25兆円)にも増大し、アメリカ経済は今にもパンクしかねない状態でした。こんな財政危機を何とか打開しようと医療改革が進められました。(当時アメリカの死亡率第1位は心臓病で2位はガンです。)
その一環として、アメリカ上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」が設置され、「食と健康・慢性疾患の関係」について、2年の歳月と数千万ドルの国費を投入して、世界規模での調査・研究が行われました。それは5000ページも及ぶ膨大な報告書となり、委員長の名前を取って「マクガンレポート」と呼ばれています。
この調査は、年々膨れ上がる医療費が、本当に国民の健康に役立っているのかが疑問であったことや、このまま推移していくと、国家そのものが病気のために破産してしまう心配があることから行われたものです。
慢性病は肉食中心の誤った食生活がもたらした「食原病」で、薬では治らないこと、これまでの西洋的食事では、種々の病気と脂肪・タンパク質摂取量との相関関係が非常に高いことが判りました。動物性タンパク質、脂肪、コレステロールが増えて、その反面人体にとって最も肝心なビタミン、ミネラル、植物繊維が減少したことにより慢性疾患がはびこる原因となる訳です。
では、最も理想に近い食事とは何でしょう?それは伝統的な日本人の食事で、精白しない穀類を主食として、季節の野菜や海草や魚介類を摂ることです。粗食、身土不二、一物全体という言葉からも連想されます。
日本では「マクガンレポート」なんて、新聞にも週刊誌にも紹介されません。でも、医療費の自己負担上昇、健康日本21や健康増進法の施行などから推察すると、各種企業団体に気を使いながらも「『食』についてどれだけ食べて、どれだけ食べないか、栄養素の問題だけでなく、『生きているもの』を感謝して食べること」が人にとって重要なことと位置付けられたと思います。
手前味噌ですが、自分の職業の重要性を考えさせられるレポートです。さて、あなたは『ガン』になったらどうしますか?どのようにされたいですか?