ガムの歴史と有効性
今回は、咀嚼回数が減った現代の食生活において、噛む機会を充分にしてくれる「チューインガム」のお話をします。
チューインガムは、西暦300年頃、メキシコ南部から中央アメリカに住んでいた「アステッカ族」や「マヤ族」が発祥の源といわれています。彼らはサポディラという巨木の樹液の固まりを噛む習慣があり、それがいまのガムの元祖となる「チクル」と呼ばれるものでした。
マヤ文化の衰退後も、チクルを噛む習慣だけはメキシコインディオに受け継がれ、この地を征服したスペイン系移民の間にも広がっていき、アメリカで爆発的な人気が出て、日本には大正5年にはじめて輸入されたそうです。
このチューインガム、最近では甘味料に使われているキリシトールが注目を集めていますが、砂糖よりカロリーが少ないだけでなく、虫歯になりにくいという働きがあって、その効果も認められています。キシリトールの原料は、白樺から取り出されるキシラミン・ヘミセルロースという成分で、これは、虫歯菌を発生させない働きと、虫歯菌を弱らせる力があるといわれています。キシリトールが開発されたフィンランドで生産されているガムの90%はキシリトール入りです。5歳の子供の虫歯の割合が、日本では77%なのに対して、フィンランドでは30%と、とても低い数字からもその効果は如実です。また、フィンランドでは、学校給食のあとにはキシリトールが配られるのだそうです。
ガムは1枚で約550回噛むといわれています。戦前に比較して、噛む回数が半分に減ったという現代の食生活を補うという点でも、このキシリトールガムの有効性が認められています。
ちなみに6月1日がチューインガムの日になったのは、平成時代の頃から、正月元旦と6月1日が「は固めの日」と呼ばれ、堅いおもちを食べながら、みんなが健やかに暮らせるようにと家族の長寿と健康を祈る習慣に由来して日本チューインガム協会が制定したものです。
昔から、現代人にこそ必要な「噛む」という良い習慣を忘れないように、ガムの話を取り上げてみました。